輸入梅
 
            
 
               
 
               海外産の梅は1960年ごろに、豊凶の差が激しい国内産の梅を補完する目的で、台湾産の梅を輸入したのが始まりです。
その後は台湾よりも安価な中国産にシフトして行き、1990年代半ばに台湾産と輸入量が逆転しました。現在ではほとんどが中国産の梅となっています。
 
日本に輸入される代表的な中国梅の品種は、青竹梅(アオタケウメ)と白粉梅(ハクフンバイ)ですが、実は逆輸入品種として南高梅も栽培されています。
 
輸入梅は当初、塩蔵原料として輸入され、日本の業者が加工販売していました。
しかしながら、現在は最終製品に加工されたものを輸入して、販売する業者が多くなっています。
これにはある理由があります。
2001年までは外国産の梅を使っていても、国内で何かしらの加工をすれば「〇〇県産」
などという表示が可能でした。
つまり日本で最終加工をすれば、中国産ではなく、国産と表示できるため、多少のコストがかかったとしても、国内加工をしたほうが消費者からのイメージが良く、販売促進につながっていたというわけです。
 
ところが2001年10月に食品表示法が改正され、梅干しの原料原産地表示が義務付けられることになりました。
これにより原料が中国産ならば、たとえ日本国内で加工したとしても、原料原産地は「中国」と表記しなければいけなくなったのです。
このため、コストをかけて国内で加工する意味はなくなり、中国国内で製品化することが多くなりました。
 
なお、梅干しなどいくつかの加工品以外では、国内で何かしらの加工をすれば「国産」と表示できる状態がしばらく続いていました。しかし、その後の法改正で、現在では全ての加工食品において原材料の産地表示が義務付けられています。
 
一般的に、中国産の農産物や加工食品に対するイメージはあまりよくありません。
それは、残留農薬などの問題がたびたび繰り返されるためだったりしますが、近年は農薬などに対して厳しい対策もされてきており、昔に比べて随分品質は向上しています。
 
 
中国から輸出する農産物は国内向けとは別に管理されています。
輸出向け農産物の生産については届け出が義務付けられており、中国政府は産地の登録・生産・加工・流通までを管理し、輸出時には検査を実施することになっています。
また、受け手である日本国内においても対策が取られ、農産物の安全性を確保するために各法律が施行、改正されました。
(食品安全基本法の施行)(農薬取締法の改正)(食品衛生法の改正)(ポジティブリスト制度の施行)ポジティブリスト制度とは、すべての残留農薬などについて基準を決めて対処する制度。基準が定められていない農薬等が残留していた場合、健康を損なう恐れが一定量を超えれば流通が禁止されます。
 
なお、これらの法は輸入食品だけではなく、国内で流通する全ての食品が対象とされています。
以上のように輸出側 輸入側、とも安全対策が進み、以前と比べると随分と安心度は高まっています。
 
また、日本向けの中国産梅干は、日本の梅業者が直接、栽培方法や加工方法を指導し、製品の品質向上が図られているため、最近では国内産と比べて遜色の無い梅干しが流通するようになってきました。しかしながら、中国経済の向上とともに製品価格も上昇しており、中国梅干の一番のセールスポイントである、価格訴求力が薄れつつあるのも事実です。
 
梅見月でも卸売り部門で若干の中国産梅を扱っております。
国産、中国産にかかわらず、お客様に安心して召し上がっていただける梅干しをご提供できるよう、日々精進しております。
※通信販売では中国産の梅干しは取り扱っていません。すべて国産(和歌山県)となります