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最近はどんな「あんばい」ですか?

 
若い人はあまり使わないと思いますが、年配の方からは時々聞く
「あんばい」という言葉。漢字では「塩梅」と書きます。
塩と梅ってまさに梅干しですね。やっぱり語源は梅干しなのでしょうか?
今回は、この「塩梅」について色々と調べてみました。
 
ちなみに「塩梅」はこんな風に使われています。
 
いいあんばいですね。(いい具合ですね)
あんばいはどうですか。(ようすはどうですか)
 
意味としてはちょうどいい、調整がうまくいっている、
良い加減、というような意味で使っています。
 
では、なぜ塩と梅で「塩梅」と書き、
そして「あんばい」と読むのでしょうか。
 
広辞苑を引いてみると
 
あん-ばい[塩梅・按排・按配]
(「塩梅」(アンバイ)はエンバイの転で「按排」「按配」とは本来別系統の話であるが、混同して用いる)
1.塩と梅酢で調味すること。一般に、料理の味加減を調えること。また、その味加減。「-を見る」
2.物事のほどあい、かげん。特に、身体の具合。「いいに会えた」「が悪くて寝ている」3.ほどよく並べたり、ほどよく処理したりすること。「材料をうまくして話す」 ず(塩梅酢)味をほどよくした酢。三杯酢など。
 
とあります。
 
「塩梅」はもともと「えんばい」と読み、その文字の通り「塩」と「梅」。
ちなみに「梅」は「梅酢」のことのようです。
梅を塩で漬けると出てくる液体が「梅酢」ですが、その昔、まだ酢がなかった時代に
調味料として使われていました。
また、醤油もなかったので「梅酢」と「塩」とで料理の味付けをしていたわけです。
梅酢と塩とのバランス。
その微妙な差異によって料理の味付けが変わる。
この梅酢と塩との絶妙な味の加減が「塩梅(えんばい)」という言葉になり、料理の味を調える意味に使われることになったと考えらます。
 
さて、「按排」「按配」は「あんばい」と読み
中国語の「安排(あんはい)」が語源とされますが、その意味合いは
 
・物事を安定した状態におくこと。
・物事をいい状態に処理する、配置すること。
・手配する、整えることなど。
 
などです。
 
この「按排」「按配」と「塩梅」が似ていることから、混同して使われるようになり、
現在に至っては「塩梅」は(あんばい)と読み、
 
・物事の加減や具合などのようす。
・身体の具合やようす、状態など。
・適度に物事の折り合いをつける。
・ほどよいぐあいに並べて整えること。
 
など、味加減以外の意味合いでも使われることになりました。
 
さて、日本古来の音楽「雅楽(ががく)」の世界でも
「塩梅」という言葉が古くから使われていたようです。
 
「塩梅」と書いて「えんばい」と読み、
雅楽で使われる楽器、篳篥(ひちりき)
奏法を指します。
篳篥:https://www.geidai.ac.jp/labs/koizumi/asia/jp/japan/hichiriki/002014.html
 
篳篥の音域は1オクターブとあまり広くありませんが、同じ孔を押さえても息づかいや唇の位置で音高を微妙に変えることができます。
この奏法は「塩梅」と呼ばれ、篳篥の代表的な奏法です。
 
この奏法がうまくいくと、いい演奏になり気持ちがいいことから
「あんばいがいい」と言うらしいのです。
このことから、この言葉が「塩梅」の語源ではないかという説があります。
 
 
いかがでしたか?他にも諸説あるようなので、興味のある方は調べてみてくださいね。