h2_icon
梅干しは二日酔い効果的!?

梅シロップ(梅ジュースの素)を作りましょう!!

梅干し
6月に入ると青果店などで青梅の販売が始まります。
クエン酸豊富な梅シロップを作り、夏場においしい梅ジュースを楽しみましょう!

 

梅シロップとは

青梅を砂糖や蜂蜜の浸透圧を利用してエキス分を抽出した糖液です。水や炭酸水で希釈して飲む他、原液のままヨーグルトソースやかき氷シロップ等に利用できます。また梅の実はジャムにリメイクすることもできますので、いろんな楽しみ方があっておすすめします。
梅干しや梅酒は、仕込みが終われば基本的に手間を掛けなくても大丈夫ですが、梅シロップは仕込みが終わった後も手間をかけないと失敗してしまいます。失敗の原因のほとんどが酵母菌による発酵ですが、密閉した容器の中で発酵が進みガスが発生すると、最悪の場合容器(瓶容器)が破裂してしまうこともあります。帰宅したらガラスの破片や液汁の飛散で大惨事。なんてことにならないように、ポイントを押さえて作ってください。
 

作り方

梅シロップの作り方はネット上にもたくさんアップされていますので、参考にされる方も多いと思いますが、サイトによって微妙に方法が違っているようです。このコラムでは出来上がったシロップの風味を優先するか(風味優先)、できる限り失敗のリスクを避けるか(安全優先)の2通りに分けてご紹介いたします。
梅シロップづくりが初めての方は(安全優先)で作られることをおすすめします。

シロップ作りに用意するもの

 
(風味優先)
■完熟梅 1
熟してから収穫した梅を使うと風味のよいシロップが出来ますが、新鮮なものは産地でない限りなかなか手に入りません。店頭で黄色くなったものは収穫してから日にちが経って追熟したものがほとんどで、傷みやすく失敗する確率が高くなります。触って柔らかいものや、一部が茶色っぽく変色したものはまずダメになりやすいので避けてださい。
 
(安全優先)
■青梅 1
新鮮で固く、キズの少ないものを選びましょう。若い青梅で作ると出来上がりの酸味が強くなりますが、発酵のリスクは低くなります。
 
(風味優先)
■氷砂糖 800g~1
 
好みの問題もありますが、甘みがまろやかに仕上がります。しかしながら、氷砂糖が溶けにくいので漬け込み初期の段階で梅に触れる砂糖液が少なく、発酵リスクが高くなります。
ぜひとも氷砂糖でいうことでなければ、下記の糖類を使うことをおすすめします。
 
(安全優先)
■白砂糖、またはグラニュー糖、またはハチミツ800g~1
蜂蜜は液体なので言うに及びませんが、白砂糖やグラニュー糖は氷砂糖よりも細かく溶けやすいので(梅が液に漬かってしまうまで果実が常に糖に触れていることが発酵を防ぎます)発酵リスクは低くなります。
 
■容量3リットル以上の広口保存びん
発酵の原因となる酵母菌は空気中に存在します。漬け込みに際しては出来る限り殺菌することが大切です。具体的には熱湯ですすいで乾かし、度数の高いアルコール(食品用アルコール、ホワイトリカー等)をスプレーします。プラスチックのフタは熱湯で変形する恐れがありますので、きれいに洗って乾かしたあと、内側にアルコールをスプレーしておきます。
 

下処理

 
(風味優先)
水をたっぷり入れた容器に梅を入れ、1時間程度放置した後、優しく洗い、ザルなどで水気を切り、キッチンペーパー等で拭きます。梅に付いている「へた」を特に取る必要はありませんが、気になる場合は水洗時に竹串などで取ってください。拭き終わったらすぐに仕込み作業を行ってください。
 
(安全優先)
上記の通り、洗って乾かした梅をビニール袋に入れ、冷凍庫で凍らせます。実の中の水分が凍って体積が増えることにより細胞膜を壊し、エキス分が出やすくなりますので早く梅が液に浸かり、発酵リスクが低くなります。
中までしっかりと凍ることが肝要なので、丸一日以上冷凍するほうが良いでしょう。また凍った梅はしばらく冷凍保存しておいても大丈夫なので、仕込み作業を時間のある後日に行えるメリットもあります。
 

仕込み

 
保存ビンに梅と砂糖を入れます。梅を冷凍させた場合は出来る範囲で霜を取ってください。
砂糖→梅→砂糖→梅→砂糖と交互に入れていきますが、最後は砂糖で終わるようにします。ハチミツの場合は全部の梅を入れた後、上から注げばOKです。ほんの少し味に影響しますが、発酵防止のため、酢(リンゴ酢、米酢など50cc程度)を入れる場合は最後に上から振りかけておきます。
 

仕込みの後

 
梅シロップ作りで一番肝心なのが仕込み後のお世話です。これを怠ると発酵してしまいます。
作業としてはビンのフタをしっかりと閉めて、優しくゴロゴロと転がしたり、場合によっては逆さにしたりを繰り返します。特に仕込みから3日間ほど砂糖が溶け切らずに液の少ない状態のときは、できれば1日に5~6回この作業うを行います。ポイントは梅の表皮に常に砂糖や砂糖液が付着している状態を保つことです。梅の実が液に全て浸かってしまえば、そのまま放置しても大丈夫ですが、底に溶け残りの砂糖があるようでしたら、1日に1~2回、逆さにしたり、転がしたりすると良いでしょう。なお、この作業以外の時はフタをきっちり閉めずに少しゆるめにしておいてください。不幸にも発酵してしまった場合、ガスが抜けてビンが破裂するのを防ぎます。なお、ビンは直射日光が当たらない、なるべく涼しい場所に保管してください。
冷凍梅の場合、漬けてから2週間、常温の梅で3週間くらいすれば梅シロップが完成します。しかし、容器の底に溶け残りの砂糖がある場合は完全に溶けるまで待ちましょう。
 

保管

 
(風味優先)
1ヶ月ほど経過して全く発酵の兆候がなければ、火入れしないで冷暗所で保存できます。冷蔵庫で保管すればなお良いでしょう。
 
(安全優先)
出来上がった梅シロップから梅の実を取り出して1015分ほど火にかけます。沸騰させないよう注意してください。冷めてから冷蔵保存すれば1年くらいは保存できると思います。ただ火入れをするとどうしても風味が落ちてしまいますのでご注意ください。
 

発酵

 
漬け初めてから、梅の上段まで液が上がっていない状態で白い泡が出て、梅の実が茶色く変色してきましたら完全に失敗です。その場合は残念ですが、あきらめて処分してください。漬け込みから10日以上経ち、液中に梅が全部浸かった状態での発酵(少量ではなく沢山白い泡が出ている)の場合は、すぐに梅を取り出し火入れをすればなんとか助けられます。しかしながら、風味は格段に落ちますので、仕込み後のお世話は手を抜かずに行いましょう。
 
梅見月では5月いっぱい青梅の予約注文を承っております。朝採れの新鮮な梅ですのでシロップ作りにおすすめです。ぜひご用命ください。